186)肝臓をなめたらいかんぞう |
沈黙の臓器といわれる肝臓は結構原始的な臓器である。人体最大の臓器で1kgくらい。3/4切除してもちゃんと元の大きさに戻る。生体肝移植は肝臓に再生力があるので可能なのだ。いつもは100%フル稼働してないようであるが肝臓の主な働きである解毒(B型、C型肝炎ウィルスやアルコールは毒の代表)用に待機しているのだろうか。解毒の代償として肝細胞が破壊されると肝細胞内の酵素であるGOTやGPTそしてアルコールマーカーといわれるrGTPなどが高値を示す。またすべての栄養は腸管から吸収されて門脈という静脈を通って肝臓に集まる。肝臓はそれらの栄養をほどよく配分して全身の細胞に送り出すので栄養の取り過ぎも肝臓にとっては大きな負担となる。女性でrGTPが高いのは栄養過多による脂肪肝のことがあるので要注意である。日本人も含めたモンゴル系人種の遺伝子は飢えには強いが飽食にはとても弱い。以下次号(110215) |
187)膵臓をなめたらすかんぞう |
日本人はつい最近の戦後の昭和30年頃までは延々と飢えに苦しめられてきた歴史がある。そのため昔は栄養失調や脚気(ビタミンB1不足)、壊血病(ビタミンC不足)など栄養不足病が多かった。一升飯に漬け物という食生活でたんぱく質や脂肪が少なく脂肪を分解する酵素リパーゼを産生する膵臓は働きが少くて済み肉食系の欧米人に比べとても小さい。が現代では日本中が飽食になり栄養過多症でさまざまな病気になっている。なかでも糖尿病はそんなに肥満でもない日本人を直撃している。元来小さい膵臓が急に働かされているためもう一つの膵臓の重要な役目である体内で唯一血糖を下げる働きを持つインスリン産生が間に合わなくなって糖尿病が急増しているのです。肝臓も男性はアルコール、女性は中性脂肪の直撃を食らって疲弊しています。痛いも痒いも言わず黙々と働いている肝臓、膵臓を少しだけいたわってあげましょう。休肝日を、そして糖分は半分に。日本人の苦手な運動に精出しましょう(110315) |
188)よくわかる放射能 |
平成23年3月11日日本沈没。東電と政府が100%安全と大見得を切った原発神話はもろくも崩れ、新聞やテレビは4月5日現在死者、行方不明者は3万人、逃げ惑う避難民は17万人と想像を絶する被害を報じています。また原発の放射能もれは地球規模の大惨事となりつつあります。原子力発電の燃料は地球上に存在する唯一天然に産出する核分裂核種のウラン235であり、化石燃料を持たない日本が総力を上げて取り組み開発したのが日本の各地に21カ所54基も設置され今後も14基以上を増設予定の原子力発電所です。ウランは中性子がぶつかると核分裂を起こしその際に莫大なエネルギーを放出します。この熱で発電するのですが同時に有害な放射能物質も生成します。ヨウ素やセシウム、プルトニウムなどの放射能物質を閉じ込めておく格納庫がひび割れて放射性物質が漏れ出しています。人体に取り込まれると細胞を破壊し、遺伝子を壊してしまいます。長期間体内で放射線を出し続けついに死に至る病気を誘発します。(110405) |
189)続・よくわかる放射能 |
放射性物質を大量(7000~1万シーベルト)に被爆すると放射線が体中の細胞をばらばらに破壊して死に至ります。ある一定量以上を浴びると種々の健康被害が出ます。早期に出る「急性障害」は主に骨髄の障害による白血球、赤血球、血小板の減少で免疫力低下、貧血、出血傾向などです。また皮膚のやけどや脱毛、腸管障害などの症状もあります。一方被爆してから数年後に現れる晩期障害では白血病(血液のがん)、肺癌、甲状腺癌をはじめさまざまな癌や肝臓などの臓器障害が発症します。特に小児は甲状腺癌の発生率が高く厳重な基準が求められますが国は原発事故の作業員や小児の被曝線量の安全基準をどんどん引き上げています。ヨウ素やセシウムなどの放射性物質は垂れ流しの状態で被曝線量は日々蓄積されています。消費エネルギーを求めすぎて制御不能な「神の火」(高村薫)を手にした代償はあまりにも大きく日本は放射能汚染列島になってしまいました。第2第3の福島をださないために今こそ原発を廃止して自然と共生する原点に戻りましょう。(110508) |
190)たかが粉瘤、されど粉瘤 |
粉瘤(ふんりゅう)は毛穴の内部が袋状になり脂腺の脂と袋の垢が貯留して徐々に大きくなります。内容物は悪臭を発します。皮膚に開口部があり菌が入ると化膿して赤く腫れてついに破れると膿と内容物が出て小さくなりますが袋が残っているため再発してきます。「ねぶつ」ともいいます。ちょこんと切って膿を出したり針で内容物を吸引しようとする医者がいますが間違いです。根治手術は局所麻酔下で開口部を含めて袋を残さずきれいに切除する必要があります。粉瘤は「悪性じゃないから」と放置されるケースが多いようですが大きくなったり化膿したりすると傷口も大きくなります。特に顔に出来たものは美観も重要なため少しでも小さくそして化膿してない時の方が手術根も小さくて済みきれいに治ります。体中どこにでも出来ますが臀部にあると常に押しつぶされているため大きくなって化膿して腫れ上がり、痛くて痛くて待合室でも座れないほどになってやっと受診する人がいます。たかがおできと放置しないで早めに受診してください。適切に処置いたします。(110615) |