2006年4月号

 春が来たかと思えば、また冬に逆戻り。そんな繰り返しの中で新年度を迎えました。この1年も楽しく豊かな保育をなしていきたいと、職員一同思いを新たにしています。

 今年度の主題は「つながりあって」です。私はキリスト教の牧師ですから、しばしば結婚式の司式を依頼されます。その際、結婚する二人に必ずお話することがあります。それは、「私たちは決して一人で生きているのではない」ということです。皆さんも考えてみてください。生まれてから今までの人生を振り返ってみれば、親兄弟家族を中心に、数え切れないくらいたくさんの人々との交わりや関わり合いの中でそれぞれの命を育んできたのだということがわかるでしょう。そもそも聖書の天地創造物語によれば、神さまが最初の人間(アダム)を造られた後、「人が一人でいるのは良くない。ふさわしい助ける者を造ろう」とおっしゃってもう一人の人(イブ)を造ったとされています。この時以来、すなわち人類が世に現れてからずっと、私たち人間は助け合い支え合ってきたのです。

 その関わり合いのもっとも中心となるのが「家族」という関わり合いです。家族というのは、他の集団・グループとは違います。「個」が集まってグループを形成するのと違い、もともと一体のものと考えられるからです。おまけに、家族という交わりは他の集団等と違って途中でやめたりすることができません。

 そんな家族の一員として、「わたし」も「こども」もいるわけです。家族とは一体のものですから、一部が痛めば全体が痛み、一部が喜べば全体が喜ぶ、一部が苦労すれば全体でそれを担い合い、一部が祝福されれば全体の恵みなのです。

 子育てというのは、苦労の連続です。でも、苦労しているのは何も自分一人ではありません。家族みんなが協力し、お互いを理解し合って、その苦労を担い合えば、家族はもっともっと成長するでしょう。そのお手伝いを私たちもさせていただきます。

 つながりあう、それは私たちにとって大切なことであるばかりでなく必要なことです。家族はもちろん、みんなのつながりを確かめながら歩みましょう。