2005年7月号

 「タイタンズを忘れない」という映画を観ました。人種差別のために分けられていた黒人の高校と白人の高校が統合され、これに伴いクラブ活動のアメフトチームも統合されました。

 ヘッドコーチ(監督)は過酷な練習を生徒たちに強いつつ、さらに生徒同士が肌の色に関係なく互いを理解することをも強い、しかもそれらを黒人白人の区別無く強いることで、結束を固めることに成功しました。

 チームは連勝を続け、学校内の他の生徒同士、また統合に反対する町の人々もチームを応援することで次第に理解を示し始め、ついにはチームを州優勝にまで導いたというサクセスストーリーです。実話です。

 人種差別と言っても、私たちにはあまり感覚がないかもしれません。でも、私たち日本社会にも様々な差別が存在しています。被差別部落、障害者、在日外国人、女性、その他諸々。民族差別だってあるのです。日本人は大和民族という単一民族だと言われることがありますが、これは誤りです。北海道にはアイヌ民族がいますし、沖縄は琉球人の国でした。

 沖縄県は日本領土のわずか0.6%に過ぎませんが、そこには在留米軍の基地の75%が集中しています。頭上を戦闘機が爆音を響かせながら飛び交い、国道をまたいだ砲撃訓練が今でも繰り返されています。そしてそれをよしとする、いえ、正確には見て見ぬ振りをしたり、元々あるんだから仕方ない、などのような無責任で無感覚な本土在住の私たちがいるのです。

 差別とは、命の尊厳を奪う行為です。柏崎の原発が事故を起こしたら?ということを想像してみるとよくわかります。都会のために地方は犠牲になっても仕方ない、そんなことを言われたらどうでしょう。

 一つ一つの命は、かけがえのないものです。強弱、大小、力のあるなし、老若男女、いかなる理由も問われず全ての命が等しく尊重されるために私たちに必要なのは、理解し合う努力と勇気です。そして、命の大切さを伝え、みんなが気持ちよく暮らせる社会を子どもたちに引き継ぐのは私たちの務めです。