数日前、友人が急逝したとの悲しい知らせが入りました。学生時代、教会で学生同士の活動や、教会学校で子どもたちの活動を共に担った先輩でした。
死因を聞いて、とてもやるせない気持ちになりました。マタニティーブルーから抜け出せず、鬱(うつ)状態で自死したのです。
ご存知かと思いますが、出産によってホルモンバランスが崩れ、精神的に不安定になることがあります。育児に対する不安や自信のなさが、それを増幅させます。さらに、睡眠不足などが追い打ちをかけます。家族の協力が十分でないと、孤立感も加わって、育児ノイローゼにもなりかねません。そして、鬱状態が続くと自死願望も出てきてしまうのです。
あえて言いますが、鬱病は病気です。ところが、ほとんどの場合、この病気は理解されません。なぜなら、他の病気のようにやれ熱が出た、やれ顔色が悪い、お腹が痛いとか頭が痛い、というような目に見える症状が出にくく、訴える症状は「やる気がでない」「すぐ疲れる」というものであり、はた目には「怠けている」とか「気持ちの問題だ」という風にしか見えないからです。気持ちの問題なら、アニマル浜口さんのように「気合いだ〜!」で乗り切れるでしょう。だから、多くの場合、「がんばれ、がんばれ」と励ましますし、長期化するとつきあう方も疲れてしまうのです。そして、病気を理解してもらえないゆえに、ますます孤独感を募らせていくという悪循環が起こるのです。
ではどうすればいいのでしょう。投薬である程度症状を抑えることはできますが、やはり最終的に大切なのは「関わり合い」です。病気だけでなくその人となりを理解して受け入れてもらえるという安心感、そして理解者が自分のそばにいてくれることこそが大切なのです。病気でなくたって、理解して受け止めてくれる存在は、私たちにとってどんなに心強く、安心できることでしょう。まして、弱っている時ならなおさらです。
人間は関わり合って生きていく存在です。その関わりの最も基本となるのが家族であるのは言うまでもありません。夫婦の関わり、親との関わり、そして子どもとの関わり、大切にしたいですね。