2004年4月号

 「十日町幼児園で良かった!」と最高にうれしい言葉を残し、9人の子どもたちが巣立っていきました。そして今、一つずつ進級した子どもたちと新入園児を迎え、新しい1年を歩み出そうとしています。子どもたちと、また保護者の皆さんと、たくさんの経験やチャレンジを通して、育児の喜びや労苦を共有していきたいと願っています。

 新しい年度を迎えるにあたり、園でも様々な準備がなされました。クラスの模様替えや倉庫の整理なんかもその一つです。大量に出たゴミの処分を業者に依頼したら「6万円ですがよろしいですか?」と言われ、一瞬貧血を起こしそうになりました。

 職員全体で保育方針を確認し、クラスごとの保育計画を検討しあうのも、この時期の大切な作業です。その会議の席で、“どろだんご”作りのことが話題になりました。

 誰もが経験のある遊び、どろだんご作り。これを大人が本気でやると、にわかには信じられないくらいピカピカに光った玉(ぎょく)になるというのです。実際、どろだんご作りの指導書を見せてもらいましたが、そこには確かに光を跳ね返すほどの光沢を持つどろだんごがあり、驚きました。

 それで、子どもたちも大好きなどろだんご作りの環境を整えるにはどうしたらいいのか、なんて話し合いが始まるわけです。たかがどろだんご、されどどろだんご、このシンプルな遊びに、子どもがどれだけ熱中するかを知っていればこそ、話し合いにも熱が入ります。

 子どもの遊びは、本来どろだんご作りに象徴されるように単純なものなのです。単純でもしっかりその世界に入り込んで、心ゆくまで遊びます。そして、その中から様々な工夫が生まれたり、友だちとの関係におけるルールを学んだりするのです。でも。

 子どもたちが服を泥だらけにして帰ってきたら、「今日はとっても楽しく遊んだんだね」と思ってください。うんざりするほど毎日毎日汚してきたら、着替えの補充をお願いします。子どもの遊びに意味づけなんかいらないのです。大人って、そうやって自分が安心したいだけなんです、きっと。だから、心をすませて汚れた服を見つめれば、元気に楽しく遊んだ今日一日の子どもの姿が見えてきて、その楽しさを共有できるでしょう。