2003年4月号
か弱い冬のそれではなく、突き刺さるような夏のそれでもない、身を委ねたくなるような暖かな春の日差しの中、ひとつずつ進級した在園児と、初めて園の門をくぐる新入園児を迎えて、2003年度の保育が始まりました。子どもたちにとっては毎日が新鮮な経験の連続ですが、私たち保育者も、たくさんの経験をし、子どもたちと感動を分かち合いたいと願っています。
新年度を迎えるにあたり、各教室では準備が進められました。壁面装飾を作ったり、ロッカーやタンスに名前を付けたり、教室のレイアウトを変更したクラスもあります。
新たに絵本コーナーも作られました。絵本を読みたい子どもができるだけ落ち着いて読めるよう、半分隔離されたスペースに畳を敷きました。
おままごとコーナーも作りました。大人の模倣をすることで様々なことを吸収していく子どもたちの“ごっこ遊び”が充実するでしょう。
さくら組には木のおもちゃを増やしました。自然の素材が持つ暖かさや手触りの良さを感じられるよう、徐々に天然素材のおもちゃや人形に切り替えていきたいと思っています。
玄関から2階へ上がる階段には、ギャラリーを作りました。ここには、子どもたちの作品を中心に、写真などを展示していく予定です。
様々な準備をしていく中で、こんな出来事もありました。玄関を飾ろうと思って作った鉢植えとフラワーリースが相次いでなくなったのです。“花泥棒”の出現に、皆が不愉快な気分になりました。
ところが数日後の朝、なくなった鉢植えとリースが戻ってきたのです。驚きと共に、今度はとてもハッピーな気分になりました。本来そこにあって当然のものが、一度なくなったことで、その大切さや美しさなどを確認できたのです。
ともすると当たり前にように見逃したり聞き逃したりする子どもの様子や言葉。でも、あらためて目を向け、耳を澄ますとき、そこにはたくさんの驚きや感動が見つかるでしょう。保育者として、親として、そうした姿勢を自らに確認したい春です。