2001年5月号

 暖かい地方からやってきた私には、十日町の春はやはり遅く感じられる・・・かと思いきや、雪が解け、太陽の光が暖かく感じられ、草花がいっせいに新しい芽を吹き出す春の息吹が新鮮で、とても心地よいものだと感じています。「♪小さい命が土の中、春が野山に近づくと、虫もカエルも目を覚ます。春が来たので目を覚ます。神様、命を造られた。ハレルヤ。ハレルヤ♪」こどもたちが歌う讃美歌の一節を口ずさみながら、このすばらしい世界を造られた神様の恵みに感謝しています。

 ディズニーのアニメ映画に「ポカホンタス」という作品があります。金銀などの資源を求めてヨーロッパから新大陸にやってきた一団の中の一人が、そこで出会った原住民の女性ポカホンタスと恋におちるというストーリーです。

 男性は、森林を切り開いて町を造り、文明のすばらしさを教えてあげようと言いました。ポカホンタスは、自然の中で自然と調和して生きている生活の豊かさを主張しました。そして彼女はこんな歌を歌うのです。「あの木の高さ、もし切ればわからない。月としゃべるオオカミの声、あなたには聞こえない。山の声と歌を歌って、風の絵の具で絵を描く・・・そして初めて答えがわかる、風の色は何色か?」

 風の色。皆さんにはわかりますか?風の絵の具で絵を描けますか?

 こどもたちは、冬の間出ることのできなかった園庭で元気に走り回り、お散歩の途中では道ばたの小さな自然に目を向けたりしながら、全身で春を感じているようです。だから、こどもたちにはきっと風の色が見えていることでしょう。

 気がつけばこの世のことに心奪われ、あるいはこの世のわずらわしさのゆえに小さな感動すらできないでいるかもしれないおとなたちに、こどもたちの素直な心は新しい息吹を、まさに命の春を与えてくれるでしょう。そんなこどもたちが持っている絵の具で、心のキャンバスにすてきな絵を描いてみたいと思う春です。