2002年7月号

 梅雨です。雨天とともに肌寒い日が続いています。あまりの寒さに季節が逆戻りしてしまったのかとさえ思ってしまいますが、玄関のツバメの雛はどんどん大きくなるし、子どもたちが育てていたオタマジャクシはカエルになって跳び出していくし、逆戻りどころかしっかり前に進んでいるんですね。

 最近、雑誌や新聞などで“スローフード”という言葉を目にする機会が増えました。ハンバーガーやコンビニ弁当など、手軽に食べられるものをファーストフードと言いますが、スローフードはその逆の性格をもつ食べ物を指す言葉、特に野菜を指して言う場合も多いようです。

 保育専門雑誌に、スローフードを見直し、積極的にこれを食べようというお医者さんの論文が掲載されていました。それによると、私たちが摂取すべき食べ物の量をピラミッドにたとえるなら、その最下段は米や麦、トウモロコシなどの穀類、その一段上に野菜類、その上に魚や肉が位置します。まあ、ここまではよくわかります。驚いたのは、その摂取量です。「卵や鶏肉は週一度、赤身の肉は月一度程度が望ましい。今、日本のお年寄りが元気なのは、若い頃粗食に耐えたからだ。」というのです。

 さらに「日本人の極端な清潔志向は、本来人間が持っている免疫力や病原菌に対する抵抗力を低下させている。微量のダイオキシンで騒いだり、病原菌の徹底排除を勧告したりするが、そういう毒物を受けつけない、あるいは排除する体にすることも忘れるな。」とも言っています。そして、そうした強い体をつくるのがスローフードだというわけです。

 園では、子どもたちの育ちを考えた給食をしています。野菜類が十分摂取できるよう工夫されているのは言うまでもありません。それだけでなく、子どもたちがそれをしっかり食べるよう、褒めたりおだてたり、パリパリコリコリと美味しそうな音を聞かせたりと、保育士はいろんな努力をしています。丈夫で強い体になって欲しいと願うからです。

 米国では、アジアの食文化にならおうという動きがあるそうです。一方、日本の食文化は西洋化している・・・。最近特に出っ張ってきた我が腹部を見ながら、様々な思いにふける私です。