胆石は昔からよく知られている病気です。時代劇の中で美しく着飾ったご婦人が、旅の道中、突然
しゃがみ込んで「持病の癪が・・・・」とやるあの場面です。胆石は胆汁が濃縮したり流れが悪く
なったりして固まったもので、大きさは直径7cmにもなったものや、小さいけれどなんと3788個も
出来た例もあります。
@中年の A女性で B小太りで C普段は元気な人で油ものの夕食をとった後に起こる腹痛
で、背中や肩に放散する疝痛発作があればまず胆石症と診断することが出来ます。痛みの他には
黄疸や胆嚢炎、膵臓炎、化膿性胆管炎、肝膿瘍、胆嚢の穿孔、腹膜炎など種々の合併症を起こし
ますが、中でも胆嚢癌との関係が重要です。胆嚢癌の胆石合併率は約90%、胆石症の癌発生率は
約4.5%と言われています。胆嚢癌の発生には胆石が深く関わっているのです。
高齢化と共に胆石持ちの人の約半数に前記の症状が現れると言われており、
癌発生の危険率も考えあわせて考えると、胆石があれば、手術的に摘出するのが無難といえるでしょう。
1990年から本邦において腹腔鏡下に胆嚢摘出術が行われるようになってからはますます胆石の
手術は簡単になってきました。これは腹壁に小さな穴を開けて内視鏡を挿入し、腹腔内を観察
しながら胆嚢摘出術を行う方法です。初期の頃は未熟なせいもあっていろいろ合併症もありました
が、現在では器具や手技も改良されより安全性も確立されています。腹壁にはほとんど傷が残らな
いため術後の疼痛も少なく、早期離床、早期社会復帰も可能になっています。
今では日帰り手術の項目に入れられるほどです。

雑学2:胆石症について

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