85))ああ、川の流れのように(2) |
医療機関で通常行われる治療以外のもの、伝統医療、健康補助食品、安易な民間療法などを総称して「代替医療」と言いますがこの「代替医療」の過去1年間の利用率をみると、日本76%、アメリカ42%、イギリス20%と日本が欧米を引き離してダントツの1位です。世界に誇れる保険制度(国民皆保険)を有する日本人が何と健康保険を利用せず高価な「代替医療」をこんなに利用しているとは大変な驚きです。厚生労働省が聞いたら大喜びしそうです。健康でありたいと願う気持ちは皆同じでしょうが今回の中国の健康食品の例を教訓に安易に他人の軽言に乗らないように注意して下さい。高価な健康食品で健康を害して死に至る、こんな損な話はありません。(020915) |
86)心の病、うつ病 |
体に病気を持つ患者の多くは「うつ病」「うつ状態」を合併していることがわかってきました。最近の日常診療で特に増えたように感じます。@1人暮らしのお年寄りが大変多いこと(話し相手がいないと自分の殻に閉じこもってしまいがちです)A子供や孫との同居。(生まれた文化が違うのだから意見が違うのは当たり前。なのにそれをわきまえないで言い合いすれば気まずくなるのは目に見えています)これらの葛藤に悩む人。Bこんなはずではなかったのにと若いときと現実の体力低下のギャップを直視できずに悩む人Dまさに「燃尽き症候群」の典型で定年を迎えてすることがなくなりふぬけになってしまう人。などが危険因子です。新潟県は残念ながらお年寄りの自殺率が大変多い県です。うつ病(うつ状態)は気候も大きく関係します。(021015)
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87)白玉の歯にしみ通る秋の夜は |
アルコールは脳への意識活性化を伝える部分の機能を低下させます。これが酔いの始まりです。酔いの初期の段階では大脳新皮質の理性の抑制がとれて古皮質の興奮が起こり感情があらわになり本能的な行動をとるようになります。酔いは血中アルコール濃度の上昇に従い興奮作用から麻酔作用へと移行していきます。つまり新皮質、古皮質、脳幹へとアルコールの影響が進み深麻酔から昏睡へついには死へと移行していきます。アルコールも立派は麻酔薬として一時期外科手術に用いられた歴史もあります。ただしほろよく飲めば百薬の長、憂さを晴らすにはちょうどよく「今宵また夜のとばりが降りる頃夜のネオンに誘われて(021115) |
88)高円宮殿下急逝 |
本年5月と9月に十日町市で開催された第4回米米フォーラムin越後妻有でご挨拶された殿下のりりしいお姿と流ちょうな英語のスピーチは日頃皇室とは縁のない私も深く感動し、気品漂う中で市民に親しく接しられていた殿下は「アルト・ハイデルベルグ」のカール・ハインリヒに重なり一層身近に感じられました。その殿下が11月21日夜47才で急逝の訃報。その死因は心室細動でした。心臓は自らの刺激で一定のリズムを持って規則的に心筋が収縮、弛緩を繰り返して拍動していますが突然そのリズムが乱れて心筋がそれぞれ勝手に伸縮してイモ虫状態にもごもご動いてしまうと血圧がでなくなり突然死してしまいます。中高年で不整脈があり無理な運動や心肺に負担がかかりすぎると起きやすく、治療法は5分以内に除細動器でドカンと一発心臓に高圧電流を流してリズムを一定に戻すことです。殿下に合掌(021218) |
89)新年と天皇陛下と前立腺 |
新年あけましておめでとうございます。平成15年が皆様にとってよい年でありますようお祈り申し上げます。さて暮れには高円宮殿下急逝そして新年早々天皇陛下の前立腺の御手術と皇室におかれましては何かとあわただしい日々のご様子です。前立腺は男性の尿道をぐるりと取り囲むクリ状の分泌腺で射精をスムーズに遂行するための乳汁用液体を分泌します。60歳を過ぎるとほとんどの男性は前立腺が肥大するため尿道を圧迫して尿の切れが悪くなります。前立腺ななぜ肥大するのでしょうか。組織は常に古い細胞が自己死(細胞自殺)して細胞分裂で新しい細胞が生まれていますが、前立腺はその調節がうまくいかなくなり自己死が減り結果的に肥大症になります。また近年PSA(前立腺特異抗原)測定が簡単にできるようになり前立腺癌の診断が容易になってきました。(030116)
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