75)貴方の大腸は大丈夫?
欧米に多い大腸癌が最近日本で増えています。逆に胃癌患者は減っている傾向にあります。何故でしょうか。食事が米食主体から欧米化して、動物性脂肪食を多く取るようになってきたためです。大腸は右下腹部から始まりお腹をぐるりと一周して肛門で終わる約140cm程の管です。大腸癌の発生には大腸ポリープが深く関与しておりまた癌発生遺伝子も次々に見つかっています。大腸癌死を防ぐにはやはり早期発見、早期治療が最善です。大腸癌検診でも便潜血反応陽性で精密検査を要する人が増加しています。大腸癌検診の精密検査は大腸内視鏡検査が最適です。煩わしく感じる人もまだまだ多いようですが以前に比べると格段に検査が楽になっています。大腸内視鏡検査の利点はポリープがあったらその場で切除してしまいます。診断と治療が同時に出来るすぐれものと言えましょう。(01,11,15)
76)2001年胃腸の旅・終曲
001年胃腸の旅も終曲を迎えました。あっという間の1年間、あまり景気のいい話はなかったようですが確実にまた1つ年を取ってしまいました。ひとはなぜ年を取りやがて死ぬのでしょうか。「老年医学」が盛んにその解明に取り組んでいます。ヒトの体をつくっているのは細胞とその細胞を取りまく結合組織です。結合組織構成成分の2/3は水分であり、残りの1/3は有機化合物(@コラーゲンAエラスチンBプリテオグリカン)です。体の中で最も多いタンパク質がご存じのコラーゲンです。あのお菓子の材料に使うゼラチンや接着剤のニカワ、厳冬の朝、昨夜煮た魚の汁から出来るあのとろけるようなにこごり、これらはいずれもコラーゲンを加熱して出来たものです。コラーゲンは化粧品やシャンプーの中にも登場してお肌をすべすべに・・と購買意欲をあおっています。本当でしょうか(2002年へ続く)(01,12,25)
77)めでたさも中くらいなり
新年あけましておめでとうございます。激動の2001年が過ぎて希望の2002年の幕開け、と言いたいところですがなかなかそうは参りません。日本経済は破綻寸前、失業率も最悪。医療業界も厳しい風が吹き荒れ4月からは大幅な医療制度改革が実施されます。高齢者医療費の本人負担増による国の医療費抑制がその主たるねらいです。「姨捨山政策」がついに実施されます。老人が病気になるのは当たり前@頭髪は禿げるか白くなりA皮膚にはしわが寄りB顔や体にはシミができC関節は固くなってD身のこなしは鈍くなりE体力は落ちてF怪我をすれば治りにくいG老眼になって見えにくくなるしH歯も抜けてぼろぼろI物覚えが悪くなってJ物忘れはひどくなる。そして高血圧、脳卒中、動脈硬化、癌、糖尿病、痛風、気管支喘息、慢性関節リュウマチ、腰痛、前立腺肥大症、白内障、痴呆などさまざまの病気にかかりやすくなってきます。(2002,01,15)
78)女性の守護神
2月3日の新聞は福岡県の中願寺雄吉さんが112才で男性世界最高齢者になったと報じています。今までの世界最高齢者はフランスの女性で122才とのこと。このあたりがヒトの寿命の限界とも言われています。人間の体は主に細胞と結合組織から出来ていますがそのうち外見上の老化を感じさせるのは皮膚が最も目立ち、次いで骨、軟骨、血管壁などの結合組織です。結合組織はかなり早い時期(20代)から弾力を失い始め、みずみずしさを失って硬化、変形が進み、足、腰、膝、肩の疼痛に苦しむことになります。特に女性は閉経後が要注意。女性ホルモンは女性の守護神ともいわれています。これが減少するといろいろな症状が一気に吹き出てきます。長寿の宿命とも言えるでしょう(02,02,15)
79)続・インフルエンザがやってくる
今冬、2月21日まで1例の患者さんもいなかったインフルエンザが翌22日に突然10人発生しました。それも2才から86才まで多彩な顔ぶれで、急激な高熱と悪寒、戦慄、のどの痛みや咳、関節痛、吐き気、腹痛、下痢、脱水など症状も軽症から重症まで幅広くこれから本格的に流行のきざしです。昨秋購入しておいた新発売のインフルエンザ診断キット(ラピドビュアー)がようやく威力を発揮して次々に陽性の判定。10例中ワクチン予防注射済みは1例のみ残り9名は未接種でした。予防注射済みの患者さんは念のためとラピドビュアーでチェックしたら見事に的中。改めて診断キットの威力を再確認しました。インフルエンザは発症48時間が勝負。早期診断と早期投薬が決め手です。(02,03,15)