clm(50-54)
50)痔核のまちがい
日本人の食生活が欧米なみに肉類や飽和脂肪酸を多く取るようになって肩上がりに増えている病気が大腸癌です。肉類を多く取ると便中の発癌物質が増加します。一方で植物繊維やカルシウム、野菜類の摂取が減ったため便の量が少なくなり発癌物質が長く腸の中にとどまることになります。運動不足も便秘を助長します。大腸(結腸)は約1.5mもある長い管で盲腸、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸、直腸、肛門に分かれておりその中でも好発部位は直腸からS状結腸にかけての下部大腸です。血便と便通異常が二大症状です。殆どの人は血便といえば痔と決めつけてしまいますがこれが危険の始まりです。(99,10,15)
51)続・痔核のまちがい
平成4年から老健法に基づいて大腸癌検診が始まりました。便の潜血反応(+)の人に大腸内視鏡による精密検査を実施するようになって大腸癌の早期発見が可能になりました。それまでは大腸癌というと癌が大きくなって便の通りが悪くなり腹痛や腸閉塞の症状が出てから病院を受診する人が多く殆どが進行癌でした。しかし最近は大腸内視鏡検査によって無症状の大腸ポリープがたくさん見つかるようになりました。1cm以上の大腸ポリープは高率に癌化する可能性があり、癌の芽を摘むためにその場でポリープを焼き切ってしまいます。大腸内視鏡検査の優れている点は観察と治療が同時にできることです。大腸癌増加の昨今、検診による早期発見のチャンスはお見逃しなく。(99,11,15)
52)美しく老いるために
平成12年の4月から実施される介護保険の認定審査会が始まりました。委員として出席してみて寝たきり老人や精神障害(ぼけや痴呆)老人の多いのに驚いています。寝たきりの原因としては脳卒中(主に脳出血)がもっとも多く約33%を占めています。また転倒による骨折も9%あり日頃の注意が必要です。脳出血の殆どは高血圧に起因しており老後を元気に過ごすためには高血圧の予防が大切になります。ぼけや痴呆は動脈硬化による脳細胞の脱落で起こりますがこれも高血圧と密接に関係しています。高血圧の予防はまず塩分の過剰摂取を控えることです。ストレスをためず適度に運動、そして何にでも興味を持って頭と体を使うことが大切です。(99,12,09)
53)ミレニアム健康
2000年明けましておめでとうございます。新しい年が心身共に充実した一年でありますように。今年も健康講座張り切って頑張りますので宜しくお願いいたします。W.H.O(世界保健機構)では健康は社会、経済、人の発展にとってかけがえのない資源であるとうたっています。また健康には「肉体的健康」「精神的健康」「社会的健康」がありますが、昨今の経済事情はまことに厳しいものがあり仮にも「社会的に健康」とはとてもいえない状態です。また人間関係はますます複雑化してむかついたり、きれたりすることも多く「精神的健康」もむしばまれています。せめて各個人が「肉体的健康」を手に入れるべく少しづつ努力をしてみましょう。何てったってミレニアム健康です。(2000,1,17)
54)平成のきん星逝く
人間はいったい何歳まで生きられるのでしょうか。約110才くらいと言われてきましたが、フランスのアルル地方に114才まで生きた女性がいて最新の医学では120才が寿命の限界であると推測されています。つまりそれ以上生きた人はいないのです。染色体が持つ細胞分裂カード(テロメア)を使い切ったときが死です。その寿命の限界に挑戦して120才まで生きてくれるかと期待していた成田きんさんが平成12年(2000年)1月23日107才で大往生されました。平成になってから注目をあび高齢化の日本にあって長寿社会の象徴として多くの人から愛されたきんさんに合掌。残された双子の相棒ぎんさんに120才の夢を託しましょう。(00,2,15)