clm(40-44)
40)冬の夜はむず痒い
冬になって悪化するのが皮脂欠乏性皮膚炎です。50才代以上の中高年に急増し、むこうずねを中心に湿疹がないのにかゆくてたまらない症状を訴え、特に冬の夜に悪化します。原因は皮膚の乾燥によるかゆみの閾値(いきち)の低下です。かゆみは夜に悪化しますが、これはかゆみの閾値が昼間の百分の一に下がるためともいわれています。昼間何ともない刺激が夜になるとかゆみの原因になるのです。頻繁な入浴やこたつ、電気毛布などの暖房器具で悪化します。予防としては皮膚の乾燥を極力防ぐこと。暖房は加湿して低めに設定し、電気毛布は使わないことなどです。ステロイド剤や保湿剤等の外用剤を塗布したり、抗ヒスタミン剤の内服などで治療します。(98,12,15)
41)酒を飲むなら赤ワイン
先日あるパーティーで、最近の赤ワインブームの火付け役ともいえる近藤和雄Dr.の講演を拝聴する機会を得た。悪玉コレステロール(LDL)が活性酸素によって酸化されて動脈硬化のもとになるのを赤ワインに含まれる「ポリフェノール」なる抗酸化作用を持つ成分が抑制するという素敵な話である。赤は濃い赤ほどよくそれは太陽の光をいっぱいに浴びた南仏産に他ならない。また分子量の大きい「重合ポリフェノール」ほど抗酸化能が強くこれは熟成期間中に出来るので年代物ほどよいとのことです。さらには適度のアルコール摂取は善玉コレステロール(HDL)を増加させ非飲酒者より死亡率が低いとのデータは有名です。もちろん過飲酒は肝障害のもと、飲み過ぎにはくれぐれもご注意を(99,1,18)
42)太陽がいっぱい
18年ぶりの豪雪であたり一面まばゆいばかりの銀世界です。ここでご用心。白銀に反射する紫外線量は真夏に負けない程強烈です。日焼けや皮膚癌の原因になる紫外線(B紫外線)ですが、また目の水晶体(レンズ)が白く濁って視力が低下する白内障の原因にもなります。白内障の患者は加齢と共に増加して80才までには殆どの人がなってしまういわば老化現象の代表選手ですが、少しでも白内障を予防するには若いうちからなるべく紫外線を避けることが肝心です。真夏の日差しはもちろんですが、雪国では冬も要注意。サングラスをかけたり紫外線をカットするソフトコンタクトレンズにするなどで極力目を保護して下さい。もっとサングラスをかけましょう。(99,2,15)
43)老死は性愛
古今東西の英雄たちが探し求めて止まぬもの、それが不老不死の妙薬です。神様は時として不平等分配をしますが老いと死だけはすべての人に平等です。医学的にみると性、愛、老、死この4文字は同じ言葉です。人が進化するには世代交代が必要ですが不老不死とは世代交代がないということでありすると人はここまで進化は出来なかったのです。死がなければ老いがなく、老いがなければ性も愛もない(世代交代がないから生殖は必要ない)。性も愛もない世界はナメクジのようでどんなに味気ないことでしょう。限られた時間の中でこそ異性を求め、家族への愛、友人への愛にあふれたドラマチックな一生が送れるのです。貴方はこれでもまだ不老不死を望みますか?(99,3,15)
44)続・老死は性愛
不老不死の妙薬が最近、発見されました。それはテロメラーゼという物質です。人間の染色体にはテロメアというものがあって定期の回数券のように細胞分裂ごとに減っていき最後の一枚がなくなるとついに細胞分裂を止めてしまいます。これが老化です。テロメラーゼはこのテロメアを合成するため細胞はいつまでたっても定期券を使い切ることなく永遠に細胞分裂を続けることが出来ます。実はテロメラーゼは癌細胞の90%にみられる物質でした。現在このテロメラーゼを阻害する物質を探す競争が世界中で繰り広げられています。テロメラーゼ阻害物質こそ我々が探し求めている夢の抗癌剤です。不老不死とは実は癌になることだったのです。貴方はこれでもまだ不老不死を望みますか(99,4,15)