clm(25-29)
25)スポーツの秋
暑い夏も終わりいよいよ食欲の秋、スポーツの秋です。近年のスポーツ熱は肥満気味の中年層を中心にますます盛んになってきています。公営の体育館などでも格安で各種のトレーニングが受けられるようになり、やる気と根気さえあればまことに便利になりました。さあやるぞと身構えなくても「日常生活で、労働以外にやる身体活動をすべてスポーツと考えて良い」と気楽に考えて今日からスタート。最近話題の骨粗鬆症の予防法をひとつ。スウェーデンのロダール博士によると「立っている時間が一日3時間未満になると、脚の骨からカルシウムが抜けていく」とのことです。せめて一日3時間は自分の脚で立っていましょう。これも立派なスポーツです。(97,9,8)
26)スポーツは楽しく
西洋の子供たちがスポーツをする時間は1つの種目につき週に一回2時間が普通です。そのためそのスポーツが待ち遠しくてたまりません。また一人が4種目くらいやっているのでいろいろのスポーツを楽しむことが出来ます。反対に日本では専門的になりすぎてしかも毎日朝練、午後練、日曜祭日もなく延々と練習に明け暮れるのでだんだん苦痛になってきます。卒業すると自分のやったスポーツに見向きもしなくなる人が多いのもこのせいです。この違いはどこのあるのでしょうか。実は指導する大人に問題があるのです。長い目で見て子供の一生を通じて楽しいスポーツが身に付くように余裕を持って指導してもらいたいものです。勝ち負けは二の次です。(97,10,9)
27)中高年者のスポーツ
そこそこの地位についた人たちが集う中高年者のスポーツには次のような特徴がみられます。@プライドの高い人が多いA遊び感覚に乏しくルールに細かく固執しやすいB全力投球をしやすいC競争性を出すと加熱してしまうD個人より集団を重んじるために自分の身体の変化を我慢してしまう、などです。遊び感覚のスポーツは大人にも子供にも大切なことです。老化の基本現象としては@予備力の低下、A反射の鈍化B回復の遅延C再生力の減退などがあげられますが、なかなか現実を認めたがらない人が多いようです。これらを自覚して無理をせず適切な運動で心身の健康を維持したいものです。(97,11,8)
28)スポーツの落とし穴
優秀な高校の陸上(競歩)選手がひどい腰痛を起こして受診しました。腰椎の変形、破壊がひどく一見すると悪性腫瘍の骨転移かと疑われたほどです。精密検査の結果はなんと疲労骨折でした。過度の運動負荷が繰り返してかかったために起こるもので、運動のしすぎが原因でした。痛みが強くなってきて次第に日常生活にも支障を来すようになって、とうとう3ヶ月間の入院、手術で休学を余儀なくされました。退院後は残念ながら無理な運動は出来なくなりましたが、そのかわり学業に精出し医学部を目指して猛勉強をしています。健康のためのスポーツで健康を害してしまう皮肉な結果とならないようにくれぐれもご用心を。(97,12,5)
29)悪魔の5重奏、序曲
新年も健康講座ご愛読下さい。昨年は暗いことばかりが続いた一年でしたが、追い打ちをかけるように9月から医療費が改定(値上げ)され患者さんの負担額が増加しました。今までのように風邪だ下痢だ、熱が出たといって簡単に医者にかかれなくなってしまいました。これは医療費の国庫負担を3260億円削減するための国の政策の所産です。今までのように安い国民皆保健の下で世界一の長寿国を築き上げた時代は終わりました。これからは自分で自分の健康を守ることが益々必要になってきます。成人病改め生活習慣病、なかでも「悪魔の5重奏」といわれる@肥満A高脂血症B高血圧C糖尿病D喫煙についてお話しします。(98,1,7)