176)春はあけぼの

私事、4月から土曜日は休診にさせて頂きます。ご不便をおかけしますがよろしくお願い致します。4月第1週の休みに毎年恒例の浅草は隅田川の花見に出かけました。早朝の隅田川の川岸を満開の桜の下で散歩しながら写真を撮ったりさわやかな空気を胸一杯に吸ってリッチなひとときを過ごしました。向島には昨年までなかったスカイツリーが朝日に輝いて338mまで背伸びして更に634mを目指してすっくと立っています。この未完の姿をみるのは今しかないのだとちょっと得した気分でした。十日町はまだまだ朝晩の冷え込みも厳しく早朝の散歩もためらわれますが現代人の多くが感じている疲労の主な原因は人間関係からくるストレス疲れとのこと。春はあけぼのです。早朝、思い切って外へ出て静謐(せいひつ)な空気を吸って今日一日の活力を養いましょう。(100404)

177)舌についての考察
舌には味細胞を持つ味蕾(みらい)があり、食物中の化学物質を唾液で液状にして味覚を感じています。ゆえに唾液が少なく口が乾燥していると化学物質が溶ける溶液が不足して味覚も低下してしまいます。成人舌に味蕾は約4000個、一つの味蕾には約60個の味細胞がありますが老化とともに減少し、これも味覚低下の一因です。さて「舌」をどう読むか。医学関係者は「ぜつ」素人は「した」と読みます。「べろ」は論外。味覚を追求しすぎると舌が肥えてしまいます。立て板に水のごとく弁舌巧みな人の舌は長くて広くそれを自在にふるったり回したりすることができ、また時には他人を舌で丸め込んでしまうこともあります。そうでない人はただただ舌を巻くばかりです。人間なのに猫の舌を持つものがいたり、なかには何と二枚の舌を持つものもいるので注意が必要です。(100517)
178)めくるめくめまい
ヒッチコックの名作「めまい」は友人の元警官の高所恐怖症によるめまいをうまく利用してのアリバイつくりが見事に成功。完全犯罪かと思わせてラストにどんでん返し。観客は見事にヒッチコックの仕掛けた罠にはまってしまいました。さて日常的にめまいを訴える人は多く、ぐるぐる回る、奈落に落ち込んでいく、ふわふわ浮いている、目の前が真っ暗になる、などさまざまに表現します。脳内におこる中枢性めまいは少なく、多くは耳の中の内耳にあり平衡感覚を感じる三半規管がその原因です。三半規管には毛の生えた感覚毛細胞がぎっしり詰まっていてリンパ液で充満されています。その毛が動いて体の方向を感じるのですが脱水や急な動作で毛の動きが速すぎて脳が整理できず混乱した状態が「めまい」です。「死んでしまう!!」と救急車騒ぎなどしないで落ち着いて主治医を受診して下さい。適切な処置で速やかに回復します。(100615)めまい:1958 ジェームススチュワート、キムノバク
179)体温調節のしくみ
ヒトを含む哺乳類は体温が一定に保たれる恒温動物です。皮膚温は外気の寒暖の影響で上がったり下がったりしますが脳を含む核心温度は常に37℃に保たれています。体のあらゆる代謝(化学反応)を助ける酵素が最も効率よく働ける温度なのです。44度以上では脳が傷害され33度以下になると傾眠から意識を喪失してしまいます。近頃体温が低い人が増えていますが酵素の働きが低下して免疫力がおちて風邪や気管支炎など種々の病気にかかりやすいといわれています。エネルギーの源は何といってもきちんと食事を取り適度な運動で汗を流すことです。全身を温めるには入浴も有効です。クマやコウモリ、ヤマネなどの哺乳動物は体温を下げて冬眠する習性を持っています。日本では06年に冬山で遭難して23日間意識喪失、22度という極限状態で発見され全く後遺症もなく回復した例があります。(100715)
180)真夏の冷え性ご用心
猛暑の夏を乗り切りにはクーラーが手っ取り早く快適ですが冷えすぎは禁物です。実は冷え症の訴えは意外にも夏に多いのです。外は30度を超す暑さなのに室内は25度でひんやり。極端な温度差にさらされると体温調節など体調を整える自立神経調節がうまくいかなくなりだるさや疲れ、食欲不振、頭痛、耳鳴り、手足のシビレや冷えなどの症状が出てきます。冷えを恒常的に自覚した状態が冷え症ですが最近は女性だけでなく子供から中年男性まで冷え症で悩んでいます。全身が冷える冬と違い、夏は手足、首、肩など露出部が冷えやすく冷えた筋肉が硬くなって肩こりや頭痛の原因になります。また体温が下がると血行が悪くなり内臓の働きも鈍り酵素の働きが悪くなって免疫力が低下します。
冷え対策には冷たい食べ物、飲み物を避けて体温より温かいものを取るように心がけましょう。寒いオフィスで長時間仕事をする人は腹巻きやズボン下、膝掛けや湯たんぽなどで保温して下さい。中でも湯たんぽは安価で熱効率もよく夏なら40℃のお湯で充分です。夏こそ湯たんぽを大いに活用して下さい。太ももの前、おしり、おなか、膝の上、二の腕の下側が保温のポイントです。