clm(05-09)
05)ウオーキングのすすめ
ごく最近までスポーツというとルールにのっとって勝敗を争う競技スポーツが主体だったのですが、現在ではスポーツ医学でいうスポーツとは「日常生活の上で、労働以外にやる身体活動のほとんど」と定義されています。その中でも今日からすぐやれて何の道具もいらないものにウオーキングがあります。ウオーキングとはただ漫然と歩くのではなく「意識して大股で時速 7km位のスピード」で。これを一日50分づつ3ヶ月続ければ必ず効果が上がります。例の筋肉を維持しつつ脂肪だけを燃やすことが出来るのです。ただしくれぐれも仕事の延長にならないようにご用心。仕事を引きずってはスポーツにはなりません。(95,11,3)
06)煙が目にしみる
日本フェンシング協会は喫煙者をオリンピック選手から除外することを決定しました。スポーツの分野にもタバコの害が問題にされるようになってきました。確かに健康をめざすスポーツに健康を害するタバコは全く似合いません。運動をすると酸素供給量が増加して血圧は上昇するのが普通ですが、喫煙者では逆に心拍出量が減って血圧が低下してしまい、必要な酸素を供給できなくなってしまいます。また気道の弾力性がなくなり気道抵抗が増して空気の吸入を妨げるため肺活量が低下し気管支炎などにかかりやすくなります。喫煙は睡眠障害も引き起こし不眠による疲労増強も大きな問題になっております。(95,12,3)
07)続・煙が目にしみる
新年開けましておめでとうございます。今年もワンポイント健康講座をよろしくご愛読ください。先回に引き続きしばらくの間、タバコの害についてのお話です。愛煙家にとっては正月早々耳の痛い話ですが健康を語るにはどうしてもさけては通れない問題なのでどうかがまんして読んで戴きたいと思います。煙害は本人だけでなく家族や周囲の人たちにも深刻な影響を与えるのでやっかいです。タール、ニコチン、一酸化炭素(CO)、これが紫煙のかげにひそむ三悪人です。タールは強力な発癌剤、ニコチンは強力な血管収縮剤で心疾患の大敵、そして一酸化炭素は猛毒ガスとして有名です。(96,1,7)
08)慢性一酸化炭素中毒
一酸化炭素(CO)は紫煙にひそむ猛毒ガスです。無色無臭のガスで酸素を運ぶヘモグロビン(HB)と強い結合性(酸素の約250倍)を持つため周りにどんなに十分な酸素があっても細胞に取り込めず、細胞レベルでの酸素欠乏(窒息)を引き起こすのです。急性中毒は炭火や燃料ガスによって起こり何の前ぶれもなく突然人事不肖に陥ってしまいます。喫煙により微量の一酸化炭素を吸い続けると慢性中毒となり頭痛やめまい、嘔気や記憶力減退、不眠などの症状が現れ更には酸素不足による心筋壊死、出血は喫煙による死亡率増加の大きな要因のひとつになっています。(96,2,7)
09)ニコチン中毒
ニコチンも紫煙に潜む有害物質です。麻薬と同じで習慣性を持ち慢性中毒になるとなかなかやめられなくなるのもこのニコチンによる悪魔のささやきのせいなのです。強い血管収縮作用を持ち特に冠状動脈硬化や不整脈による狭心症発作(胸痛)の誘発や、喫煙者の死亡率を10倍にも高めている心疾患(心筋梗塞、不整脈)の大きな原因にもなっています。また胃の平滑筋を収縮(痙攣)させて強い胃痛や悪心、嘔吐などの消化器症状も起こします。慢性ニコチン中毒から離脱するには麻薬患者と同じでかなり強い意志が必要です。麻薬撲滅よりまずはニコチン撲滅運動から始めましょう。次回はいよいよ最強の発癌剤タールの登場です。(96,5,3)