昨年8月号に紹介した「米米フォ−ラムに参加して」の続きです。日本の独立記念日は神話の世界が広がっての建国記念日で国民にはいまいちぴんと来ませんがアメリカの7月4日、フランスの7月14日の独立記念日はあまりにも有名です。これらの国には及びませんが去る4月25日は、かの国「南アフリカ連邦共和国」の独立記念日でその祝賀パーティが駐日大使公邸で盛大に行われました。昨年4月の田植えフェステバル、9月の刈り入れフェステバルが十日町市で66カ国の大使を迎えて華々しく開催された際、各国大使はホストファミリーの家庭に民宿して民間外交の花を咲かせたものでした。我が家には「南ア連邦共和国」の大使補佐ご夫妻にお泊まりいただき熱烈歓迎で大いに親交をあたため、喜んでいただきました。その後も我々夫婦で上京の折りには彼らの自宅マンションにお邪魔したり、子供達も2−3回遊びに行ったりして親交を深めてきました。市および地球環境平和財団からは「民間大使として多大な貢献をしたことに対し感謝の意を表し」と立派な賞状も頂き悦に入っていましたがこんな出来事もあっという間に忘却の彼方へ過ぎ去り相変わらずの慌ただしい日々に埋没していた今年の3月末に思いもかけず大使より独立記念日の祝賀パーティへの招待状が舞い込んできました。忘れかけていたのとまさかとの思いで一瞬鳥肌が立つような感激を覚え2度と体験できないからと出席を決意し即座に4月25日(金)を臨時休業にするよう事務に張り紙を出させました。思えば開業以来初めての有給休暇となりました。4月25日当日は朝からどんより曇って今にもポツリときそうなお天気でしたがそのまま何とか一日もってくれました。前日、翌日は雨だったので当日だけ降らなかったのは本当に幸いでした。ワイフは朝5時から美容院へ出かけて髪結いと着付けをしてもらい7時57分の列車で上京しました。目指すは「港区元麻布3丁目1−14」です。9時55分に東京駅に着きそこから丸ノ内線で霞ヶ関駅へ、さらに日比谷線に乗り換えて六本木駅で下車しました。ここで思わぬハプニング。六本木駅を中心に六本木ヒルズと称するテーマパークがまさにこの日オープン日だったのです。ものすごい人混みとTVカメラや報道陣でごった返していました。お巡りさんに聞くと大使公邸はここから20分くらいとのこと、時間もたっぷりあったので道を聞き聞き見知らぬ土地の町並みをきょろきょろしながらそぞろ歩いて行きました。下町風情豊かな曲がりくねった元麻布の狭い小路の要所要所には「南ア大使公邸」の矢印が立っていてそれをたよりに大使公邸を目指しました。30分も歩いてようやくたどり着いた大使公邸は何と六本木ヒルズでお巡りさんに道を聞いた所からまっすぐ行けばものの3分とかからない場所でした。駅の立看板の公の地図にも出ていずこの辺では「中国大使館」と「フランス大使館」が有名でした。「南ア」はやはりマイナーなのでしょうか。12時から14時までのパーティでしたので11時半頃公邸に着き招待状を確認してもらい入館しました。公邸周囲はぐるりとガードマンが護衛していて物々しい雰囲気の中「南ア連邦共和国へ入国」とちょっと得意顔でした。少し早かったのですが「ラッキー」と言われました。今なら食べ放題、飲み放題とのこと。約400人が招待されているとのことでなるほど全員が集まると約200坪ほどのしゃれた庭もぎっしり人人で埋まってしまいました。庭の5カ所にテントをもうけ1隅では2−3mもの長さの本物の腸詰めポークソーセージを始めリブステーキや厚厚ステーキの角切り、焼き鳥などのバーベキューが食欲を大いに刺激してくれました。また「南ア」産のビールを始めワインや健康茶、カクテル、果物その他の食べ物などまた寿司もあったりしてそれはそれはたいした賑わいでした。腸詰めソーセージが抜群においしく何回もお代わりしながら地元のワインやビールに舌鼓を打ちました。日本の要人では橋本龍太郎氏や森毅郎氏、またデヴィ夫人なども同席されてパーテイは絶好調を迎えました。さすがにデヴィ夫人の周りには華やかな雰囲気が演出されていました。そのデヴィ夫人の宝石を一手に引き受けているというインド人に紹介され新潟市に4月オープンの「朱鷺メッセ」で宝石ショーを開くので是非にと調子よく話しかけられました。頃もよし空には景気よくヘリコプターも飛んで「南ア連邦」の独立記念日を祝ってくれました。(本当のところはオープンした六本木ヒルズの取材だったのでしょうか)今「南ア」は昔と違って白人支配のアパルトヘイト(黒人への人種差別)はなくなった代わりに逆差別ともいえる黒人中心の社会になってしまったようです。重要ポストはすべて黒人が占め他人種(白人や黄色人種、そしてインド人など)はなかなかそれ以上の出世の機会がないとのことでした。米国とはまた違った意味での人種差別の難しい一面をみた思いでした。日本人の招待客の他には白人もいましたが近隣諸国のアフリカの大使館関係者が多くジンバブエやナミビアの大使とも歓談しました。もちろん黒人です。約2時間、連中はとにかくよく食べてよくおしゃべりをします。話は変わりますがワイフの着物姿は結構目についたようで方々から声をかけられ十日町の着物の宣伝に一役買っていました。また着物に興味のある人は十日町を大変詳しく知っていてこちらがびっくりするほどでした。結構十日町もその道ではメジャーなんだと感心させられたと同時にせっかくの十日町を何とかもう一工夫、もう一押しインパクトあるPRの必要ありと感じました。あっという間の2時間でしたが楽しく疲れて帰路につきました。六本木ヒルズは午後の2時頃が最高潮で様々なイベントや路上パフォーマンスが繰り広げられていました。「南ア」では今エイズと貧困が大変深刻な問題になっています。エイズ感染を恐れて医者自身が国を離れてしまうほどです。そんな世界とは無縁のパーティでした。ふと日本の高官もこんな風に庶民とは無縁なのかなあと思ってしまいました。とにかく初体験のそして2度とない貴重な体験をした「南ア」の独立記念日祝賀パーティはこうして終わりました。
                平成15年5月7日(水)記            十日町市中魚沼郡医師会 高橋修一

雑学6:続・米米(こめこめ)フォーラムに参加して

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