206)高中生脂肪血症は007 |
健診で引っかかって結果を持参する患者さんが増えていますがいろいろな項目に異常値の★がついている中でとにかく多いのが高中性脂肪血症です。中性脂肪とは目に見える脂肪のことです。一見スリムに見えて体脂肪率の高い人を隠れ肥満と呼びますがこれを内臓脂肪型といいます。小腸周囲の脂肪細胞の中身が大きくなって体脂肪率が高くなります。しかし減量すると燃えやすく減らすこと比較的容易です。見た目に脂肪がついているいわゆる肥満型が皮下脂肪型で殆どが高カロリー食(食べ過ぎ)の人にみられます。これは脂肪細胞の数が増えていく型で蓄積されにくいのですがいったん溜まってしまうとなかなか分解されません。血液中の中性脂肪値は内臓脂肪型の方が圧倒的に高いのでこのタイプの方が危険な徴候です。男性に多く女性でも更年期を過ぎて女性ホルモンが減ってくると皮下脂肪の他に内臓脂肪も増えてきます。中性脂肪は動脈硬化を予防する善玉コレステロールを減らし動脈硬化を助長する悪玉コレステロールを増やす作用があり危険がいっぱい。まさに高中性脂肪血症は007(殺しの番号)というわけです。@糖分、アルコールの過剰摂取A夕食過多BストレスC運動不足が危険因子です。(121015)
|
207)肺炎球菌ワクチンノ活躍
|
日本人の死因は長い間@がんA心疾患B脳血管疾患の3大疾患が占め、次いでC肺炎でしたが昨年60年ぶりに肺炎が脳血管疾患を抜いて3位になりました。高齢者人口の増加とどんな疾患も長期になると最後は肺炎が致命的になるので今後は益々増え続けることでしょう。肺炎はともかく脳血管疾患では死ななくなったというほうがショックでかも知れません。医学の進歩により脳卒中患者の死亡率は5%まで減少し、その結果10年間余りも寝たきりや半身不随、言語機能の障害などのため我が身の自由もままならず生活の質が著しく低下して他人のお世話にならざるを得ず老老介護などの社会問題も深刻化しています。さて肺炎は多種の菌が関係しています。なかでも肺炎球菌肺炎が多いのですが幸い肺炎球菌ワクチンがありますので高齢者の方には出来るだけ多く予防注射をしてもらい肺炎を予防して頂きたいと思います。県内では14市町村が公費助成しているとのことですが十日町市には高齢者インフルエンザワクチンには公費助成がありますが残念ながら今のところ肺炎球菌ワクチンへの助成はありません。一日も早い助成を宜しくお願い致します。2001年から高齢者全員に予防注射をして老人医療費が半減したという北海道瀬棚町の奇跡は伝説になっています。2012,11,15)
|
208)かぜの科学 |
風邪(common cold)はあまりにありふれた病気で専門書もなかったが最近ようやく「かぜの科学」という本が出版された。この本によると人は生涯に200回以上も風邪を引くというから大変だ。延べ5年間も発熱や咳、鼻水、くしゃみ、鼻づまり、倦怠感、頭重、頭痛、食欲不振、悪寒、戦慄などに悩まされる計算になる。風邪の原因には少なくとも200種以上のウィルスや細菌が関与しているといわれているから敵が多すぎて防ぎようがないのである。そのウィルスも日々変異しているので今日はこのウィルスにかかったと思ったら明日は別のウィルスにと次から次へと風邪を引くはめになる。風邪ウィルスの主なものは5種類あるが人命をおびやかすのがあの悪名高きインフルエンザウィルスである。感染力が強く猛威をふるい人の呼吸器細胞を破壊して重篤な呼吸障害を起こすことによって多くの死者が出る。1918年の第一次世界大戦を終わらせたのはスペイン風邪(インフルエンザ)だったとの説はつとに有名である。そのため毎年変異してくるインフルエンザに対して研究を重ねてコンピューターで予測出来るようになりワクチンが造られてからは多くの人がその恩恵を受けている。市や国も65才以上の高齢者に助成金を出してまで予防注射を受けてもらうのはその方が医療費がずっと安くつくからである。予防は最強の治療なり。但し新型に対してはお手上げです(121217) |
209)続・かぜの科学 |
かぜの科学の続きです。主な風邪ウィルスは5種類ですがピコルナウィルス(ライノウィルス)、アデノウィルス、コロナウィルス、パラインフルエンザウィルスは人体を攻撃しないので重症化には至りません。症状は軽く鼻水やくしゃみ、鼻づまり、頭重、微熱、倦怠などですがこれらの症状は実は生体の防御反応で抗体が出来たためのものです。放っておいてもたいしたことはありませんが難儀いので医者にかかれば症状に対しての薬が処方されます。危険なのがインフルエンザウィルスです。このウィルスだけは感染力が強く直接人体を攻撃します。なかでも進入路となる呼吸器の細胞を破壊してダメージを与えるので重症化すると呼吸障害を起こし肺炎を合併すると致命的です。悪寒戦慄、38℃以上の高熱や全身の節々の痛み、激しい咳や痰、呼吸困難、食事もとれずぐったり。高齢者や乳幼児は特に危険、乳幼児では救命できてもインフルエンザ脳症になると悲惨です。予防注射が確立されていますのですべての人に受けてもらいたいと思います。季節は今、十日町はこれからがインフルエンザの大流行期に入ります。(130117)
|
210)宇宙人の科学 |
認知症とは「脳や身体の疾患を原因として記憶、判断力などの障害が起こり、普通の社会生活が出来なくなった状態」と定義されています。日本では@脳血管性認知症Aアルツハイマー型認知症Bレビー小体型認知症を3大認知症と呼んでいます。約140億個ある脳神経細胞は老年期になると1日10万個づつ脱落していくといわれますがこれは「人の名前をど忘れしたり」「何をどこにおいたか忘れたり」する記憶力、集中力、注意力の低下からくる単なる脳の老化によるもので病気ではありません。人の名前どころかその人の存在すらわからなくなったり家族すらわからなくなったり昼何を食べたかどころか食べたことすらわからなくなるのが認知症です。まさに宇宙人です。@脳血管性は脳梗塞や脳出血によって脳細胞が破壊されるもので最も多いのが微小脳梗塞が多発する「ラクナ梗塞」です。この原因には糖尿病、高血圧、高脂血症などの生活習慣病やアルコール大量飲酒があげられます。誰でも宇宙人にはなりたくないものです。少しでも予防できるように努力しましょう。(130215)
|