196)風とともにサリン |
1994年松本サリン事件、翌年3月20日地下鉄サリン事件発生。死者29人、重軽傷者6500人、そして多くの人が今もなお心身の障害に苦しんでいる。11月22日朝刊の見出しは「オウム裁判終結・審理16年、死刑13人」長い年月が経過して事実は風化し悲しみだけが残された。かのヒトラーでさえ第2次世界大戦当時7000トン以上のサリンを貯蔵していたにもかかわらずこの神経毒の後遺症のすさまじさに敗戦濃厚の戦局打開の切り札としてサリン使用をとの周囲の勧告にも耳を貸さずついに終戦まで一滴も使用しなかったという曰く付きの毒ガスである。あのヒトラーでさえ躊躇したサリンをこともあろうにオウム真理教といういわば人々を救うための新興宗教集団が同じ日本人に対して使用したサリン毒薬大量殺人テロ事件の犯人とは。絶句。その中心には患者の命を救うのを第一義とした医者が含まれていたとは。また絶句。目撃者によれば目の前で一瞬にしてドタン、バタンと次々に人が倒れていき、死を免れた人も苦しみにのたうち回っていたとのこと。思い出すのも悲しいが決して「オウム」を風化させてはいけない。・・大雪、大地震、原発事故、大水害・・かくして2011年はGone
with the Wind (2011,12,8)
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197)5大疾病(しっぺい)について
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新春をことほぎ会員の皆様には健康の一年を祈念します。以前は@がんA脳血管疾患B心臓病の3つが日本人の死因の3/4を占める3大疾患でしたが2006年厚労省はC糖尿病を加え4大疾病としさらに2011年7月にD精神疾患を加えて5大疾病と明記して国の重点対策が必要な病気として取り組むことになりました。2008年の調査では糖尿病237万人、がん152万人に比べ、うつや統合失調症などの精神疾患は323万人にのぼり群を抜いて多くなっています。年間3万人を超える自殺は殆どがうつ病が原因でありその対策も急がなければなりません。他にも脳血管疾患や心臓病の原因になる高血圧症や脂質異常症、肥満症などの生活習慣病が増加の一途です。今年こそは生存競争を生き抜くために自己管理を徹底して@とにかくカロリー制限で体重減少A苦手な運動を日常生活に取り込みB猛毒の発癌物質を含む喫煙をやめてCがんの早期発見のために積極的に内視鏡検査を受けD志は昇り龍のごとく高く、雪にも負けず、放射能にも負けず、水害にも負けぬ、丈夫な体をつくりましょう(120115)
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198)閑話休題沖縄旅行 |
珍しく救急当番がなく正月5連休になったので思い切って念願の沖縄旅行をした。私は始めて。妻は薬学生時代に実家がある学友の誘いで沖縄旅行をしておりその頃の沖縄はまだビザが必要なアメリカの国であり1ドル360円だったそうな。旅の目的は@首里城の歴史をひもとき栄光の琉球王国を忍びA太平洋戦争で唯一本土決戦の戦場となり20万人が戦死、その象徴のひめゆりの塔で黙とうしB普天間基地をこの目で見て沖縄県民の屈辱を共有したい。この3カ所である。まず首里城を半日かけてゆっくり見学、どこかの団体に潜り込んでガイドの説明を聞きながら14世紀から続く琉球王国の歴史をじっくり学んだ。妻の学生時代の写真には朽ち果てたままの守礼門が写っていたが平成元年から始まった精密な復元事業によって今の豪華絢爛たる首里城が復元された。2日目はレンタカーで回る。旧海軍司令部壕では展示された写真の前であふれる涙が止まらなかった。ひめゆりの塔では悲惨な記録映画にこうべを垂れ、ひめゆり女学生の犠牲者の顔写真が何かを訴えたがっているように私の目をじっと見ていた。戦慄、黙とう。近くの平和祈念公園にも行って平和の火、20数万人の名が刻まれた石碑に圧倒された。残念ながら普天間基地には時間がなくて行けなかったが何故か見ないで良かったとほっとしている。(120215) |
199)ロコモティブシンドローム |
超高齢化社会となった現在、気持ちは娘のように若くハツラツとしているのにいかんせん体がついていかず「ああ、年は取りたくないものだ」と嘆いている人の何と多いことでしょうか。加齢はまさに骨や筋肉の衰えから始まり次第に運動機能が低下してきます。頑強な若者でも骨折などで3日寝ていると既に大殿筋(しっぺた)や大腿筋(ふともも)が委縮してきます。私も大病で56日間入院して退院したときには重力の重さ(足腰の筋力低下)にがく然としたものでした。ロコモティブとは「移動能力のある」と訳しますが介護を必要とする高齢者の多くが、骨格や筋肉に障害のある運動器の疾患、骨折、骨粗鬆症、膝腰の変形性関節症、脊柱管狭窄症などで運動能力が低下することを意味します。加齢と言ってしまえばそれまでですが使わなければあっという間に委縮してしまいます。寝たきりになると本人もつらいし周囲の人もつらい思いをします。いつまでも自分のことは自分で出来る。そんな風に悠々と生きたいものです。でも無理は禁物です。少しの不注意で骨折や腰痛から寝たきりになる人も多く寝たきりはまた認知症発症の大きな原因にもなります。自分の足で歩きましょう。ロコモ体操も奨励されています。ためして下さい。(2011,3,15) |
200)いい湯だな、ははん |
日本人のお風呂好きは有名ですが江戸時代から湯屋(銭湯)や風呂屋(蒸し風呂)が繁盛し、また火山大国ならではの沢山の温泉があって社交場的娯楽、癒し、薬湯、などいろいろな効能があります。なかでも疲労回復には大変有効ですがそれは血液循環が良くなるからです。さて健康によい温度は何度でしょうか。実は42℃以上の熱い湯に入ると脳内麻薬(βエンドルフィン)が分泌されてじょんのびじょんのびとなるのです。といって健康に良いとは限りません。熱いと血圧の変動が激しくなり特に入浴直後の(魔の2分間)が危険です。しかし40℃のぬるいお湯に長く入ると体温が2℃上昇します。体温が2℃あがると血液(血小板)がくっつきやすくなり血栓が出来やすくなります。湯温と時間の関係は44℃なら5〜10分間、42℃なら7分間〜15分、40℃なら10〜20分間が目安です。体温が2℃上がる状況はお風呂だけではありません。風邪などで高熱が続けばやはり血液どろどろです。早めに手当てしましょう。(120415) |