171)新型インフルエンザの季節 |
11月3日文化の日は日本中が冷え込み、妙高など山沿いには初雪が降り本格的な冬将軍の到来も間近となりました。先月中旬以後、県内でも新型インフルエンザが猛威を振るい始めいよいよ大流行(パンデミック)の兆しです。インフルエンザウイルスは冬が大好きで毎年冬になると多くの人が季節性インフルエンザに罹患しますが今年は更に新型インフルエンザ患者が重なって医療現場も大混乱をきたすことが予想されます。予防は何と言ってもワクチンですが日本全体のワクチン製造能力が決まっており何割かを新型のワクチン製造にあてるため季節性のワクチンが8割しか手に入らず皆様には大変な迷惑をかけることになりました。しか今からでも遅くはありません。例年ならこれから季節性ワクチンを接種する時期です。品不足ですが本町クリニックは何とか頑張っています。新型ワクチンも国からの割り当てですが入荷される予定ですので時々クリニックに電話して下さい。季節性は流行時期が1月頃からですから12月中旬までに打てば十分間に合います。受験生の方などもあわてないで下さい。とにかくこまめに電話してみて下さい(091103) |
172)北欧型医療について |
この夏ノルウェーから18才の女子学生が我が家にホーム・スティした。両国の文化の違いに目をみはり見るもの聞くものすべてが新鮮、なかでも料理は最高と舌鼓を打ちながら多くのことを吸収してくれた。私も得るものが多かったが興味深いのは医療制度の違いであった。北欧4国は世界に名だたる福祉国家である。北極圏に近く寒くて厳しい気候風土の中では一人で自立することは難しく自然に相互扶助の精神が培われたのであろうか。収入の半分は税金であるがそれがゆりかごから墓場までの手厚い福祉の源泉となっているので特に反論もない。義務教育や医療はすべて無料であり全国民が平等の医療を受けられる。反面で入院などは半年待ちはざらとのこと。これはデンマークの病院を視察したときにも同じ状況であった。骨折などは半年も治療を待っているうちに自然治癒してしまう。逆に癌でも入院まで長く待たされるので自然淘汰されることもあるとのこと。それでも全国民が同じ状況なら納得できるのであろう。日本の医療は至れり尽くせりだが格差社会は益々広がり国民が皆平等とは言い難い。難しい問題である。(091215) |
173)新春・食べ物考 |
明けましておめでとうございます。今年も健康ミニ講座をご愛読下さい。さて「いただきます」は「あなたの命をいただきます」が語源との説があります。人間は多くの他の動植物の命をいただいて生かされているのです。外国語には適当な言葉がなく日本語の絶妙な表現力といえましょう。一日30種類の食べ物(30種類の命)が必要といわれていますが日本人の食生活はどんどん簡素化されてきており体に必要な微量元素(亜鉛、胴など約20種)やビタミン類を含む食べ物不足による味覚障害や舌炎、全身倦怠感を訴える人が増えています。なんとダイエットしすぎて難病・奇病になり原因がわからず大学病院へ入院して「かっけ」(ビタミンB1不足)と診断された今時信じられない例もあります。正月におせち料理をいただくとカロリーは少なくしかも多種多様な食材を目にしますがこれこそ理想的な食べ物です。先人の知恵をかいま見る思いです。カロリーは極力おさえて多種類の食材をバランスよく食べてそして適度に運動して今年も健康で過ごしましょう。メタボにはくれぐれもご注意を。(100115)) |
174)恐怖の毒ガス |
暖冬予想に反して豪雪となった今年は寒さも厳しく屋根の雪下ろしでの転落死など雪国ならではの悲劇も耳にします。70代の女性から悲壮な電話「先生、息苦しくて死にそうです」もう一件は「80代の夫が苦しがって死にそうです」とSOS。すわ一大事と駆けつけてみると部屋中が排気ガスのにおい。石油ストーブをがんがん燃やしていてその排気ガスが部屋に充満していて一酸化炭素中毒になっていたのです。手足はしびれて胸が苦しく呼吸困難、意識ももうろうとしています。あわてて窓を開け放し新しい空気を入れ石油を電気にかえて何とか事なきを得ましたが男性は1週間以上も酸欠状態が続き連日の点滴でようやく回復しました。一酸化炭素は酸素の280倍の強さで血液と結合するのでいくら酸素があっても赤血球が一酸化炭素に占領されてしまい細胞に酸素を送ることが出来ず細胞が窒息してしまうのです。石油ストーブを使うなら排気ガスを外に出す工夫をして下さい。大変危険です。(100215) |
175)続・食べ物考 |
人の胃とブタや犬、ライオンなど動物の食後の胃袋をレントゲン写真で比較すると興味深い結果が得られます。ヒト以外のすべての動物はおしなべて腹8分目に控えています。弱肉強食の世界では自分も他の動物のえさになるわけですから、腹一杯食べると動きが鈍くなり逃げ遅れてあえなく一巻の終わりです。本能的に満腹は危険だと察知しているのです。家畜になったブタでさえ本能は残っていて満腹には食べません。しかし逃げる心配のなくなった人間は殆どの人が腹12分目、胃袋がぱんぱんになるまで飽食しています。腹部のCT検査でパンパンの胃をみると唖然とします。そのくせ多くの人は食べ過ぎを自覚しないで「そんなに食べていないのに」と太り気味を嘆いています。この思い違いが現代の日本人がカロリー過多になる要因です。腹8分目を意識して実践して下さい。必ず効果があらわれます。(100315) |