151)変形性膝関節症(1)

腰の痛み、膝の痛みは2足歩行をする人間の宿命です。猫や犬などの4足歩行動物には腰痛、膝痛はありません。人の体は細胞と結合組織から出来ていますが結合組織は25才までに成熟してしまい、それ以降はゆるやかな退縮に向かいます。自分の体重と重力を腰、膝で支えるため長年の蓄積が変形性脊椎症、変形性膝関節症となって加齢とともに痛みを感じるようになってきます。膝は大腿骨と下腿骨から構成される人体の中でも最大の関節ですが骨の先端には軟骨があって軟膏輪は内側半月板、外側半月板というクッションの役目をしています。これらの隙間には有名なヒアルロン酸が存在して円滑油として働いています。これらの軟骨がすり減ったりヒアルロン酸が少なくなると骨同士がすれ合って痛みが出てきます。また膝に炎症が起こると関節水腫となり膝に水がたまることになります。以下次号(080311)

152)変形性膝関節症(2)
膝や肩のように動かせる関節を可動関節といいますが水がたまるのはこの可動関節に炎症が起こるためです。炎症によって滲出液が漏出したり血管の透過性が増して血液成分が関節内にしみ出て来ますがこれが膝に水がたまるという現象です。ちまたでは水は取らない方がいいんだとまことしとやかに流布されていますが大間違いです。炎症による水は最高で800ml(牛乳びん4本分)という記録もあります。水が溜まると関節内圧が亢進して関節滑膜内膜組織の毛細血管が圧排されて虚血状態になりさらに関節破壊物質の産生が進んでいきます。水が溜まったら穿刺をして水を抜いてやりヒアルロン酸を注入し消炎剤や鎮痛剤で治療します。なお最近盛んに宣伝している飲むヒアルロン酸はお金を捨てるだけで効果はありません。決して無駄遣いはしないで下さい。(080415)
153)肺炎球菌ワクチンを打とう
日本人の死亡原因の3大疾患は@がんA心臓病B脳血管疾患です。この3つで日本人の死亡の75%を占めています。そのCに肺炎と続きます。特に冬場に風邪やインフルエンザに合併して起こりますが特に高齢者の肺炎の原因菌として最も多いのは肺炎球菌という菌によるものです。しかしこの菌のワクチンが出来て、日本ではすでに100万人以上の人が接種をしてその恩恵を受けていますがいまだ知らない方も多いのではないでしょうか。インフルエンザは毎年型が違うため毎年ワクチン接種が必要ですがこの肺炎球菌ワクチンは一度接種すると5年〜8年くらい効果が持続します。副作用もほとんどありませんので安心です。予防は最高の治療です。後期高齢者の方はもちろん、前期高齢者の方でも毎年肺炎にかかりやすい人には是非お勧めします。なおこのワクチンはいつでも摂取可能です。かかりつけ医にご相談下さい。(080515)
154)肩こりは美人の証明
人体は200個余りの骨と400個余りの筋肉によって支えられており、これらを結合組織といいます。肩の構造は上腕骨、鎖骨、肩甲骨でつくられた関節でありそれを上腕2頭筋、上腕3頭筋、僧帽筋などでがっちりと支えています。肩こりは、やせて華奢ななで肩(なで肩は美人の代名詞です)の前かがみの女性に多いといわれていますがここの筋肉が脆弱なために華奢に見えるのです。また頭の重さは4-5kgありますがなで肩前屈みの人は首の後ろの僧帽筋だけでその重さを支えるために僧帽筋がすぐ疲れてしまい血行障害を起こして疲れの元になる乳酸がたまり肩こりの原因になるのです。姿勢をよくして首の全部の筋肉で頭を支えれば僧帽筋の疲れも取れてうそのように肩こりは治ります。頭に本を載せて落とさないように姿勢の訓練をして下さい。効果てきめんです。後は血行改善の工夫です。湿布、温泉、リラックス、軽めのマッサージ、痛み止めが有効です。(080615)
155)超悪玉コレステロール
4月からメタボ健診が始まり俄然注目を浴びてきたのが超悪玉といわれるLDLコレステロールです。HDL(善玉コレステロール)は血管の掃除屋でLDLを運び出してくれるので多いほど健康には良いのですがLDLは全身の血管の壁にへばりついて動脈硬化を起こします。なかでも心疾患、脳血管疾患を発生させる重大な危険因子です。このLDLがたばこの煙や種々の活性酸素によってさらに悪役ぶりを発揮してきます。摂取カロリーを控えた食事療法と運動療法が効果的ですがなかなか実行が難しいのが生活習慣病といわれるゆえんです。薬物療法は運動が苦手な人には朗報です。有効な薬が沢山製造されています。高コレステロール、低HDL、高LDL、高中性脂肪とこれらを総称してこれからは脂質異常症と呼びます。沈黙の殺し屋から逃れるすべをしっかりと認識して下さい。(080718)